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help リーダーに追加 RSS (短編)−手紙−僕の心が君に届いたら。

<<   作成日時 : 2006/12/15 14:48   >>

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 郵便配達のおじさんに僕は全てを託すことにした。
 赤い郵便ポストの銀色で横長の口が不敵にキラリと光った。まかせとけと言わんばかりの大口で、ポストは僕が手紙を入れるのを待っている。
 学生服の尻ポケットの中で、手紙は顔を出したり引っ込んだりして、少し角が曲がってしまった。白い封筒に宛名は“水本ゆうこ様”と書いてある。
 ゆうこは僕の一つ上の幼馴染で、近所では秀才の美少女といわれている。万年最下位争いレギュラーの僕だから、ゆうこと僕ではつりあわないどころか話も合わない。「ソクラテスとカント」と彼女が言えば「即テスト勘と?」といった具合だ。
 その秀才のゆうこに、なんと男ができたらしい。
 噂に聞けば、その男は危ない。喧嘩好きで、酒好きで、暴走車好き。そんなやつの助手席にゆうこが座ったら命がいくつあっても足りない。だからこの手紙はゆうこのためだ。
 僕は思い切ってポケットから手紙を抜き出し、そのままポストの口へ押しこんだ。
 ポストは音もなく僕の手紙を飲み込んで、彼女との純粋な友情に終わりをつげようとしている。ゆうこを僕の彼女にし、嫌な男から引き離す! そして二人はハッピーエンドだ。
 でも、どうしよう。
 一度ポストに入れた手紙はもう戻ってこない。なのにまだ悩んでいる。十年来も幼馴染で通してきたのに、今更恋人候補になれるだろうか。ゆうこに男ができたと聞いてから、毎日が落ち着かない。ゆうこと男が腕を組んで歩く姿が妄想のように脳みそにプリントされているからだ。
 これではまるで十年告白できなかった意気地なしみたいじゃないか。今まで「ガリ勉ゆうこ」に男ができるはずないとタカをくくってたことも事実だ。それは失敗だったと思っている。
 ゆうこは童顔で窓ガラスみたいな分厚いレンズに真っ黒なおかっぱ頭だ。はっきりいって地味で目立たない女だった。性格は悪くない。真面目で、半端なことが嫌いだから、僕はいつもゆうこに叱咤されている。
 でも彼ができたと僕が噂を聞いた頃には、眼鏡がコンタクトレンズになり、真っ黒だった髪はふんわりと茶色のショートヘア変身した。もともと童顔だったゆうこは熊のぬいぐるみが似合うフェミニン系の女の子になった。まさに別人だ。
 はっきり言って、むしょうに可愛い。
 男ならここが決め所だ。しっかりしろ! と言われても、男だって恋愛に上手い下手がある。そもそも恋愛上手なら、手紙なんて書く必要がない。話し上手でナンパができるくらいの度胸とノリがあるなら、とっくにゆうこに告白している。会って話すほど、僕の心臓は強くない。
 だけど、想いは伝えたい。だから手紙にしたのだった。

*** つづく? ***

かきおろしてみました。短編です。

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