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help リーダーに追加 RSS 白い花。(2/2)

<<   作成日時 : 2008/10/09 11:58   >>

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 花屋の片隅、忘れられた緑の鉢植え。
 伸びた葉の数だけ待ちつづけた日々も、いつかきっと報われる日がくる。
 遅咲きの小さく白い花。
 芽吹く蕾に未来をたくわえながら
 君と出会うのを待っている。



「ごめん。悪気はなかった」
 そう言われても、白いバッグは元に戻らない。
 元彼との別れ際で、散々殴りつけた武器になっただけに多少の傷はあったが、ちょっと気に入っていたバッグだったのだ。
 ミカはその男を睨みつけようとしたが、あまりに純朴でお人よしな空気にのみこまれてしまった。
「し……仕方ないわね」
 ミカの許しを得て、男が照れ笑いすると、キラキラした目が一転して糸のような垂れ目になった。

 驚いた。

 甘え上手な、人を蕩かす笑みにミカは動転していた。その瞬間から目の前の災厄な存在が、彼と呼べるようになっていた。

 それが恋というなら、そう呼んでもいい。
 風が引き寄せた運命は初対面のはずなのに、何となく見覚えがあるように思えてくる。
「俺、リュージ。お前はミカ?」
「え?」
 ミカは本当に知合いかと思ってあらゆる記憶のページを探った。
 だがリュージは細かいところに気がついていて、バッグに付いたキーホルダーの文字を読んで指差していた。
「美香恵。でもミカって馴れ馴れしく呼ばないでよ?」
「じゃ、美香恵」
「呼び捨てすんなボケっ。」
 ミカが切れそうな勢いで怒り爆発させると、リュージは笑っていた。
「鉢を返すついでだ。その怒りをちゃんとぶつけて言わないと!」
 彼はミカの手首をぐっと握り、花屋へと直行した。

 実は女子高で男に免疫力の少ないミカは、手をつなぐのが久しぶりだった。 手を引っ張る彼の背中が大きく頼もしくみえた。

 けれどミカは意識しないでおこうを思った。
 リュージは気付くことなく真面目な顔で花屋だけを見ていたのだ。
「花屋が鉢を転がしとくなんてだらしないと思わないか?
 バッグは汚れるし。そういうの許せないんだ」
「でも、花屋さんっていうより、風のせいでしょ?」
 店の中は高級感あふれていた。花はアートのように並び、女子高生がいるだけで場違いだ。
 そこにリュージはズカズカとミカを引っ張っていく。
「いいんだ。言うべきことはちゃんと言わなきゃダメだ――さぁ!」
「――さぁ?」
 リュージはミカの背中をドンと押した。
「え?」


 ――あたしが言うのカイ?


「いらっしゃいませ――花束ですか?」
 若い女の店員が現れた。
「あの…えっと……」
 しどろもどろになるミカにリュージが後方からトドメをさした。
「だらしなく鉢を放っ散らかしとくから、バックが台無しじゃねぇか!
 どうしてくれんだヨ」
 店員はアッと指を口にあてて、平謝りした。
「……あ、いいんです。この人の言ったことは気にしないでください」
 リュージがまだ言いたいことはたくさんあるようなので、咄嗟にミカは店の脇においてある植木鉢を指した。

「アタシ、あれでいいです! あれ下さい!」
 誰にも買ってもらえなかった二百円の鉢。毎日通学途中に見ていたから思い出した。
 こうして通学路で毎日視線に入っていた鉢はミカのものとなった。







 ただし、それはお土産にとして。
 なぜならそこがリュージの家で、あれはお姉さん。
  



 風に揺れるレースのカーテン。
 アタシの部屋に小さくて白い花が咲いたよ。
 それにほら、リュージの声がきこえる。




***おわり***
 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ちょっとロマンチック(死語?^^;)
話のテンポが速くていいですね〜。
恋が終わったあとに、また新しい恋 
いいな〜それ
はる
2008/10/09 13:28
前半が調子悪くて挫折するかと思いました(T_T)でもこぉしてコメいただけると嬉しい〜O(≧∇≦)o
はるさんありがとう(v^-゚)
sora
2008/10/13 00:38
これは甘酸っぱいですね。
なんか爽やかな後日が想像できて、
ほほえましい余韻。
火群
2008/11/14 03:23
火群さん。こんばんわ。いつも遅くまでたいへんですね〜ありがとうございます。
今日はすごくダークなもんをアップしたので、自分でもそのギャップに驚きました。でもどっちかといえば、白い花のほうが万人向きでいいですよね。
sora
2008/11/14 14:32

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